ごあいさつ

理化学研究所 基幹研究所 ケミカルバイオロジー研究基盤施設

第14回日本がん分子標的治療学会学術集会を2010年7月6日(火)午後〜8日(木)の2日半にわたりタワーホール船堀にて開催いたします。今回のメインテーマは「ケミカルバイオロジーから臨床への橋渡し −ベンチサイドからベッドサイドへ−」とさせていただきました。本学会は前身であるがん分子標的治療研究会時代を含め、1997年の設立以降、基礎研究から臨床への橋渡し研究として大きな役割を果たしてきた経緯があります。昨年度から学会組織へと大きく発展し、曽根三郎会長のご尽力で学術集会も「3日間開催」、「Year in Review企画」、さらには「二会場同時発表」とこれまでにない企画が盛りだくさんでした。会員へのアンケート結果も好評だったので、第14回の学術集会もこれらの企画を継続して開催したいと思います。

ケミカルバイオロジーとは、ケミストリー(化学)の手法によってバイオロジー(生物学)を理解・制御する研究です。がん分子標的の阻害剤を探索したり、細胞の表現系(分化や形態変化など)を指標にしてスクリーニングし、得られた化合物から新たながん分子標的を提示したりすることが可能です。がん治療を目指した医学・生物学に化学のパワーが取り入れられることは、これからの新しいがん分子標的治療の発展には不可欠です。新規抗がん剤の開発は、国民の多くが望んでいることであり、その希望を叶えることが本学会の責務であると言えます。一刻も早く新しい治療薬をベンチサイドからベッドサイドへと渡していくために、会員相互の協力が必要だと思います。本大会では、先生方の情報交換の場、さらには共同研究のきっかけとなる場を提供できるよう、魅力的なワークショップやシンポジウム等を企画したいと考えております。例えばポスター発表者全員に一分半の口頭発表(ポスターブリーフィング)をしていただきます。

本学会は、産学連携を重んじ、新たながん分子標的薬シーズの探索から前臨床研究、さらに前臨床から臨床応用へのステップアップを目指しております。このような特徴ある本学会の第14回学術集会も、会員の方々のお力添えをいただき、実り大きな場となりますよう努力を致しますのでよろしくお願いいたします。